額田郡幸田町野場にあった2つのお城それが野場西城と野場東城
愛知県額田郡幸田町野場には、2つのお城跡がありました。それが野場西城と野場東城です。
野場西城
現地案内板によると城主は大須加氏と夏目氏です。
(1)大須賀氏
大須賀胤重という人が故あって三河にやってきて吉良氏に仕え、代々『野場』に住んだようです。
その後、酒井忠尚に仕えましたが、胤高の代の時、家康に使え忠勤の甲斐あって、家康の『康』の字を賜り、『康高』と改めました。それからは戦功を重ね、天正二年(1574)横須賀に二万石を賜りました。
(2)夏目氏
永禄六年(1563)の三河一向一揆の時、『夏目吉信』・『大津半右衛門』・『乙部八兵衛』等が野場西城に籠もったらしく、松平伊忠に攻められて落城しています。
野場西城は現在、集落になっていますが、地籍図で見ると円形のお城だったようです。現在では土塁が一部残存しています。
周囲は水田が広がり、かつては湿地帯だった様で、お城の雰囲気は残っています。
土塁の側には石碑もあります。案内板もあり嬉しい限りですよね。
野場東城
【三河国二葉松】に『野場村古城』という名で出てきます。城主は山本氏で、詳細は不明ですが、三河一向一揆後に廃城となったとの事です。
野場東城の場所は大字野場字米倉にある共同墓地とその周辺です。
愛知県中世城館跡調査報告2三河地区に明確な地図が出ているものの、お城の遺構は残っておらず、地籍図からも縄張を伺う事はできませんでした。
これは私の仮説ですが、もしかすると大須賀氏の居城が野場西城で、夏目吉信、大津半右衛門、乙部八兵衛が籠ったお城が野場東城ではないかと思います。
なぜかというと、大須賀氏が横須賀城に移ったのは天正八年(1580)頃と考えられており、それまで居城が必要だったからです。
また野場東城は三河一向一揆で落城している歴史があるからです。
1つのお城に2つの城主や歴史だと混乱しますが、この仮説だとスッキリしますね。
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